FUJITSU World Tour 2015 in Madrid – 日本企業が海外の社会や企業と密接な関係を築くためには

10 July 2015

2015年6月9日、 “Fujitsu World Tour 2015″ 国際会議にお招きいただき、参加させていただきました。日本企業が海外の政府や企業と信頼関係を確立するためには何が必要なのかを、改めて考えさせられる機会となりました。

 

“HUMAN CENTRIC” AND “INNOVATION”

 

スペインは大好きな国のひとつです。人々は温かく、寛大。文化も豊かで食べ物もワインも美味しい国。しかし、ヨーロッパではPIGS(Portugal, Ireland, Greece, Spain)とひとまとめに揶揄されるほど、経済は困窮を極めてきました。このコンファレンスに参加するまで、スペインの経済状況がどこまで回復しているのか、また富士通が現地でどのような事業展開をされているのか、ほとんど存じ上げていませんでした。

 

Fujitsu Spainと富士通研究所の共催によるこのコンファレンスは、会場は溢れんばかりの人で熱気にあふれ、富士通への関心と期待の大きがうかがえました。基調講演者の一人であるとして登壇したスペイン副首相Ms. Soraya Sáenz de Santamaría氏は、スペイン経済が急速に回復してきていることをデータを交えて強調。富士通のような多国籍企業がそれに寄与してきたかを説明されました。 

富士通はここ数年「ヒューマン・セントリック」を企業理念としています。プレゼンを通し富士通様がスペインで過去40年にも渡って築かれたものを知り、この企業理念は単なる机上の空論ではなく、顧客に寄り添い、真摯にその声を聞き、顧客に本当に役に立つ技術やソリューションを開発してきた企業という印象を強く受けました。

 

コンファレンスのキーワードのひとつはイノベーションでした。富士通研究所CEO・佐相氏は、イノベーションを “Innovation = Invention x Business Model x Ambition”と定義しました。これはイノベーションとは単なる技術革新ではないという強いメッセージです。会場では富士通研究所様が開発された技術の展示も行われていましたが、どれも大変実用的で、スペインの政府や企業にすでに実際に使用、または近い将来使用される予定となっているとのことで、政府や企業担当者の大変大きな期待を感じさせました。

 

このコンファレンスで再確認したのは「いかに人の近くいられるか・顧客に寄り添えるかが大切」ということです。言い古された言葉かもしれませんが、ビジネスでこれほど大切なことはありません。顧客の声に真摯に耳を傾け、困難な状況からも逃げずに痛みを共にし、そして支える。そこからイノベーションが生まれ、顧客のビジネスを共に育てることができるのだと、改めて思いました。

 

スペインの経済復興はまだ道半ばです。失業率は依然20% を超えており、若年層では50%にものぼるとも言われています。富士通をはじめとする日本企業がスペインの痛みに寄り添いながら、さらなる経済復興へと導かれるよう願っています。

 

(文中敬称略)