新型コロナウイルス 英国では今

新型コロナウイルスの感染者数が日本をあっという間に追い越し、3月に国全体でロックダウンとなってしまったイギリス。

ここまでの激的な状況の変化はこれまでのイギリスの、また私たちのあらゆる経験や想像を超えたものでした。

ロックダウン開始から4ヶ月、イギリス国内の全てが停止したような状態の中にあっても、ひたすら立ち向かい乗り越えようとする企業、店舗、そして人々の様子を、第1回(2020年3月30日掲載)から最終回(2020年7月13日掲載)までの計32回にわたり、FacebookやLinkedInでお伝えしてきました。

すべての記事をこちらにまとめて掲載いたします。

 

人々が前代未聞の状況にも適応し、工夫して力強く生き抜いている様子から、私自身大きな勇気と学びを得ました。

この記録が皆様にとっても何かのお役に立てましたら幸いです。

 

代表 江口ベイコン昌子

◆第1回 外出自粛要請から1週間で外出禁止令に◆

30 March 2020

新型コロナウイルスをめぐってのイギリスでの3月中旬~下旬の「たった2週間」での激的な社会の変化を振り返ると、ざっとこんな感じでした。

外出自粛要請やレストラン等の閉鎖指示の対象は、ロンドンなどの都市部だけでなく最初から「全英」対象のものでした。正確に言うと「イングランド&ウェールズ」になりますが、スコットランドや北アイルランド政府も同様の措置をとっています。

 

3月16日(月)

ジョンソン首相が国民全員「不要不急の外出自粛」の要請、そして、既往症のある人、妊婦、70歳以上の人は外出しないよう呼びかけ。この時点では学校はまだ休校になっていなかった。

 

3月18日(水)

3月20日から全国の学校を休校にする決定。両親ともが医師、看護師、警察官、消防士などの特別職に就く子どものみ通学継続可。

このあたりから、お互いに2mの距離をとる「Social distancing」という言葉が広く知られるようになる。

 

3月21日(土)

当日夕方より全レストラン、パブ、娯楽施設、スポーツセンター等の閉鎖を指示。

同時に企業の存続や人員確保のための措置も次々に発表。そのひとつが、人員削減対象になる人の給料の80% (上限2,500ポンド=約337,500円)を政府が補償するという、英国政府自身も類を見ない「世界初の思い切った支援策」だった。

さらに、納税期限の延期、賃貸料支払い遅延の許可、それに伴う家主への支援、無利子ローン制度なども発表。

 

3月22日(日)

この日は英国の「母の日」だったが、家族の集いも避け、高齢の家族には2mのSocial distancingを守るよう首相が呼びかけ。感染しても無症状・軽症が多いとされる子どもでも祖父母にウイルスを拡散する危険性が高いという説明もあった。感染で重篤化の可能性が高い人々約150万人には12週間の外出禁止通達の手紙が送られた。

 

3月23日(月)

首相が国民に向けたスピーチを行い、全国民に対して「外出禁止」を発表。

1日1回、個人/家族単位での屋外での運動と、必要最低限の買い物は可。

食品や日用品販売店以外の店舗は全て閉鎖。

 

そして3月30日(月)外出禁止からちょうど1週間が経ちました。

 

明日からは「外出禁止」下の日々のくらし、テレワーク体制で行うビジネス活動の状況、医療体制、オンライン学習、地域コミュニティの支え合いの様子、イギリス経済の見通しなど、いまのイギリスの生の様子をお伝えしていきます。

 

(写真:BBC Newsより 外出禁止令前後のロンドン、ピカデリーサーカスの様子)

◆第2回 パニック買いで棚から消えた意外なもの◆

31 March 2020

イギリス政府が「不要不急の外出自粛」を正式に発表したのは3月16日でしたが、パニック買いはすでに10日ほど前から始まっていました。

 

写真上は3月6日にスーパーで撮影したものですが、トイレットペーパー、キッチンペーパー、手指消毒液、除菌関連製品の棚が空になりました。

 

その後、外出禁止になるのではという憶測が高まるにつれて、次にパニック買いの対象になったのはパスタ、トマト缶、卵、パン、小麦粉。小麦粉は薄力粉、強力粉、self-raising flourと呼ばれる小麦粉とベーキングパウダーがミックスされた粉(ケーキを作るときに便利なのです。)、全粒粉に至るまで完売。自宅でパンやケーキを焼くことを想定した人が多かったのかもしれません。

 

そして、ついに店内のありとあらゆるものが無くなるという状態にまでなりました。

 

ただこれも先週(3月23日の週)になるとだいぶ改善され、品物が棚に残るようになりました(写真下)。外出禁止になっても買い物には出られるので、パニック買いに走る必要はなかったのですね。

 

日本で入手困難になっているマスクですが、こちらではマスクをする習慣がないのでもともとあまり売られていません。(イギリスのお客様を日本にお連れすると、皆さんマスクが気になって仕方がないんです。笑)工事現場などで利用する工業用マスクが完売したという話は聞きましたが、今でもマスクをしている人は少ないですね。


◆第3回 スーパーのCEOから届いた感動のメッセージ◆

31 March 2020

パニック買いが始まった直後、スーパーのCEOからE メールが届きました。(このスーパーの配送サービスに利用登録をしていたのでEメールが送られてきたのだと思います。)「商品は十分に確保できており、毎日補充しているのでパニック買いをしないでください。高齢者や体の不自由な方が買えなくなっているのでご協力をお願いします。」という説明とお願いのメッセージでした。詳細も丁寧に説明してあり、割合に長いメールでした。

 

そしてパニック買いがひどくなった段階では再度CEOからのメッセージが。

「お返事、フィードバックをありがとうございます。みなさんからのお声、ご提案にお答えして、最初の1時間は70歳以上の人や体に不自由のある人などのみが買い物をできる時間帯としたいと思います。皆様のご協力に感謝します。」という内容でした。

 

その後も

• 医療従事者、警察官などの特別職の人も開店後1時間で買い物 ができる設定

• 患者に接している医療従事者と高齢者を同じ時間帯にしないように曜日によって高齢者と特別職の人を分ける対応

• 棚から品物が無くなることをできるだけ避けるため、取扱い品目を絞り重点的に補充する措置

• 配送サービスは高齢者や体の不自由な方を優先

• お客様と従業員を感染から守るためにどのような手順を取っているのか

など、新たな対策が講じられる度に、CEOからのEメールが送られてきました。

 

普段CEOからのメッセージが一般ユーザーに送られてくることはほとんどありません。だからこそこの非常事態にCEOからのメッセージが響くのだと、企業としてのメッセージの伝え方を考えさせられました。


◆第4回 届け英国民の拍手 過酷な医療現場の戦士たちへ◆

1 April 2020

イギリスにはNHS (National Health Service国民保健サービス)と呼ばれる国営制度があり、原則無料で治療を受けられます。しかし過去10年の緊縮財政の影響もあり慢性的に医師・看護師不足状態。インフルエンザ流行で救急がパンクするなども常態化していました。

そこへこの新型コロナウイルスの到来です。

ロンドンの大型展示会場を病院に転用、引退した医師・看護師に現場に復帰してもらうなど様々な措置が取られているものの、病院は今、戦場状態。医師や看護師の私の友人も12時間シフトで勤務し続けています。

 

3月26日午後8時、英国中の人々が自宅ドアの外や庭に出て、市民の命を守る・救うために戦い続けている医療従事者たちに対する最大の敬意をこめ、一斉に拍手を送りました。

英国民全体の今の気持ちがひとつになったこの行動に、胸が熱くなりました。

◆第5回 首相も保健相も、自宅から情報発信中◆

2 April 2020

 

先週新型コロナウイルス陽性が判明し、自宅療養中のボリス・ジョンソン首相ですが、政府担当者とビデオ会議をしている様子をツイッターに掲載しています。

今回の新型コロナウイルスへの対応を見て、ボリス・ジョンション首相への見方が変わったという人が増えています。首相就任当初は否定的、懐疑的な見方をしていた人たちですら、毎日首相が記者会見で前面に立ち、記者からの質問にも丁寧に真摯に答える姿勢、国が一丸となってこの事態を克服するのだという強い意志、素早い対応などを高く評価しています。

現在、自宅療養中の首相に代わって毎日の記者会見を担当しているのは、内閣府担当大臣マイケル・ゴーヴ氏。彼はジョンソン首相と保守党党首の座を争ったこともあるライバルですが、しっかりと代役を務めています。

 

同じく陽性反応が出たマット・ハンコック英国保健相も、インスタで国民にメッセージを発信しました。

「私はまだ自宅隔離中ですが、質問があればこちらに送ってください。できる限り多く、早く回答していきます。」

 

首相・保健相とも、動画を見る限り軽症のようでほっとしていますが、それでも療養中に公務を継続するのは大変なはず。保健相がインスタを使うあたりも、幅広い年代にメッセージを届けたいという思いが伝わってきます。

◆第6回 ロックダウン下のホームスクール(家庭学習)◆

3 April 2020

イギリス全土の学校が休校になって2週間。感染を避けるため子どもを祖父母に預けるのは難しく、夫婦が自宅で勤務しながら子どもの家庭学習も見る家庭が大半となりました。我が家も例外ではありません。

でも英国が従来からオンライン学習の体制が整っていたことでとても助かっています。我が家の子どもたちの今の様子をご紹介します。

 

娘(公立小学校)の場合:

一部科目の宿題はもともとオンライン。学校のウェブサイトではその日の宿題を確認でき、プリント配布されたものもPDFがアップされます。以下の科目はオンライン教材での宿題で、担任の先生が各生徒の進捗や結果を確認できます。

• 算数…オンライン教材Mathletics(写真)。

• 第二外国語(仏語・西語など)…オンライン教材Duolingo

国語(英語)の文法や読解問題、特定の題材についてのレポート作成などは休校直前にプリントが配布されましたが、上記科目はオンラインが継続されています。

 

息子(公立中学校)の場合:

9割以上の科目の宿題はもともとオンライン。Show my homeworkというアプリを使い、宿題やテストの内容など全てこのアプリで連絡。親も宿題の内容や進捗を確認できます。(写真は数学の宿題)。

今回休校となってからも通常の時間割に沿って先生から課題や資料がこのアプリ経由で配信され、息子は登校中と同じように家庭学習を続けられています。

 

一方で、子供の自主性・自律性にもさすがに限度があり、2週目に入ると時間割通りに進まなくなってきました。

他のオンライン学習ツールやテレビの教育番組などを組み合わせ子どもたちが飽きないよう試みるものの、仕事をしているうちにいつのまにか子どもたちがテレビやゲームに移行していることもしばしば…。

親のテレワークが続く中、学校は来週から2週間のイースター休暇。もしそのまま休校継続となれば夏休みまでさらになんと約13週間の家庭学習…これにはどの家の親も頭を抱えていると思います。


◆第7回 ジョンソン首相からの手紙◆

4 April 2020

昨日(4月3日)、家のポストに「英国政府よりコロナウイルスに関する重要なお知らせ」と書かれた封筒が届きました。

中にはパンフレットとジョンソン首相からの手紙が入っていました。

パンフレットには、外出禁止令の内容、手の洗い方、家族に感染者が出た場合の自宅隔離日数のカウント方法など。そして手紙には、およそ次のようなことが書かれていました。

 

「この状況下、国民の皆さんがどれだけ辛く、大変な思いをしているか分かっています。しかし今は、命を守るために、必ず家にいてください(You must stay at home)。 皆さんが家計や食べ物の心配をせずにすむよう、政府は全力で支援します。またNHS(国民保健サービス)に従事するスタッフやボランティアの皆さんに心から感謝しています。」

そして最後にあらためて、

「家にいる、NHSを守る、命を守る」“Stay at home, protect the NHS and save lives(全て太字)”。

 

外出禁止令から2週間、英国民にもさすがに気疲れが出てくる頃です。そして今週末の天気予報は気温20度。雨が多く洪水被害が多発した冬の後にようやく来た春の陽気だけに、多くのイギリス人は外に出たいという衝動にかられるに違いありません。

このタイミングでの首相からの手紙に、今ここで気持ちを決して緩めないでほしいという強いメッセージを感じました。

手紙というあえてアナログな方法も、本当に重要なことは手紙で伝えるというイギリスのカルチャーに加え、自宅にネット環境がない人にも情報格差を生まない配慮からだと思います。



◆第8回 テレワーク開始で試行錯誤の中小企業◆

6 April 2020

イギリスでは、もともと週に1、2日はテレワーク(working from home)という人も珍しくありません。大企業では外出自粛令発令前に全社でテレワークを開始するなど、比較的早くから対応できていました。

 

一方でテレワーク未導入の中小企業はおおわらわでした。弊社のお客様(従業員70名の英国企業)もその中の一社です。

 

外出自粛令の可能性が出てきた段階で、スタッフ全員にノートPCを支給(「追加コストが痛かった」と社長)し、スタッフの半分が毎日交互にテレワークのトライアルを開始。ちょうど2巡したところで外出禁止令となりました。早めのトライアル開始が幸いしましたが、

• 各家庭のWiFiや携帯の受信状況が悪く、VPN (Virtual Private Network)がうまく確立できなかったり、基幹システムがスムーズに作動しないことも

• システムへのアクセスやチームでのコミュニケーション方法など、スタッフへのレクチャーや意見交換もオンライン実施せざるをえなかった

など、本格運用開始後もスムーズではなかったそうです。

 

現在は以下のような運用にもだいぶ慣れ、テレワークでもかなり仕事ができるねという雰囲気になってきています。

• 毎朝、部署ごとにビデオ会議で進捗確認と情報交換。社長は傍聴のみ(Microsoft Teams使用)

• 週2回、各部署のマネジャーと取締役、社長でビデオ会議(Microsoft Teams使用)

• 勤務中のコミュニケーションを欠かさない(Slack、WhatsAppなど使用)

• コーヒーブレイク、料理のレシピのシェア、運動など、業務以外で時間を共有できる参加自由のオンラインセッションを実施(Zoom使用)

 

しかし「ちょっとしたおしゃべり」からの情報交換や新しいアイデアが生まれにくかったり、不満や不安を話しにくいなどまだ課題も。スタッフのやる気と仕事の効率を上げる工夫をしていきたいとのことでした。

◆第9回 地域の小規模店や飲食店は細やかなサービスで奮闘中◆

8 April 2020

現在イギリスでは食品や日用品の店のみが通常営業、飲食店はテイクアウトサービスに限り営業を許可されています。小規模店にとっては経済的な打撃だけでなくお客様の安全確保や商品管理も大変です。それでも、地域の人々ためにと次のような工夫を重ねながら店を開け続けてくれています。

 

<食品・日用品店の工夫例>

• 店のドアを開け放しにしておく(万引きのリスクはあるが顧客の接触感染リスクの低減を優先)。

• 狭い店でもSocial Distancing (2m)が守れるように床にシールを貼る(写真)

• パンの需要増に応えられるよう、仕入れに加え店内でもパンを焼く

• お年寄り、体の不自由な人やお得意様に食品等をお取置きする

• 大手スーパーでは品切れのものも仕入れ先を工夫し在庫切れを出さない

• 開店30分前はひとり親が子連れでも入店できる専用時間帯にする(一般的には大人1名での買い物を原則としている)

 

<飲食店の工夫例>

• テイクアウトサービスを始めたものの、Social distancing が守れず配達のみに切り替え

• 配達の場合、電話またはウェブサイトでの注文時にカード決済。配達時、直接手渡しはせず、ドアベルを鳴らしドアの外に品物を置く

• テイクアウトの場合、駐車場に車を止めてもらい、車のトランクに品物を運ぶことで顧客との接触を避ける

• ポスト配達で済むよう、ドアポストに入る箱に平らな形のケーキを入れて郵送する

 

小規模店舗は、地域に根付いているからこそ大手チェーンには真似できない細やかなサービスが提供できていると感じます。今回その工夫や苦労に気づき「もっと地元のお店を使おう」というメッセージをSNSに書き込む人が増えてきました。

◆第10回 給与80%補償をめぐりプレミアリーグが批判の的に◆

9 April 2020

 英国政府は、外出禁止令の発令直前から、様々な企業支援策を打ち出しました。その中でも「世界初の思い切った支援策」と英国政府自身も胸を張ったのは、人員削減対象になる人の給与の80% (上限2,500ポンド=約337,500円)を政府が補償するというものでした。経営が困難になっても従業員を解雇ではなく「一時待機措置」とするすべての企業がこの補償の適用対象となります。

 

英国商工会議所 (The British Chamber of Commerce)のアンケートによると(4月8日発表)、回答した企業1000社のうち、37%が従業員の75-100%を、20%が従業員全員を一時待機措置に留めると回答しました。政府の思い切った支援のお陰で、なんとか現時点ではリストラをせずに済んでいる企業がとても多いのです。

 

この一時待機措置を“都合よく”利用しようとしていると国民からの猛批判の的になったのが、プレミアリーグサッカークラブです。選手には巨額の報酬を支払い続ける一方で、選手以外のスタッフを一時待機措置にして補償金を得ようとしたクラブが複数あったのです。

これにはマット・ハンコック保健相も「選手の報酬カットが先ではないか」と苦言を呈し、著名なサッカーコメンテーターも「今この苦境にクラブや選手が何をしようとしたか、我々は忘れない」と厳しい態度でコメント。

ファンや元選手などからも批判を受け、先日ついにリバプールが選手以外のスタッフの一時待機措置を取り下げたほか、ほか複数のクラブも慌てて選手の報酬30%カットを検討し始めました。

ところがPFA(プロサッカー選手の労働組合)は「賃金をカットすればその分所得税納付が減少し、ひいてはNHS(国民保険サービス)の運営に悪影響が出る。」と反論。

是非の議論は今も続いています。

◆第11回 一筋縄ではいかないテレワーク生活◆

 13 April 2020

 3月16日の外出自粛発表以来、全英でテレワークを行う人が増えました。

そしてここのところ皆が口を揃えて言うのが「電話会議がものすごく増えた!」ということ。

 

写真は私自身の3月30日の週のスケジュールです。予定された電話会議だけでも相当数ですが、加えて電話がかかってくることも多く、結局ほぼ一日中誰かとオンラインで話している状態。

このようになってしまった理由を自分なりに考えてみると…

 

* オフィスで同僚に「ちょっと聞いていい?」と声をかけられないかわりに電話するが、先方が忙しいことが多く、あらためて電話会議を設定する羽目になる。

* 移動時間を考えずに済むので、つい詰めて沢山ミーティングを入れてしまう。

* 普段アポが取りにくい人と電話会議ができるチャンス!とつい無理に入れてしまう。

* 普段なら遠方で行けないセミナーやワークショップがオンラインで提供されるので嬉しくてどんどん参加してしまう。

 

改善策としてこんなことを心がけるようになりました。

 

* チームミーティングなど複数の人の予定を確保する必要がある場合は、2-3週間前に設定するか、定期開催として曜日・時間を決めておく。

* 隔日で3時間程度の「電話会議を入れない時間帯」を作り、レポート作成などに集中する。

 

慣れない環境で戸惑いも多いですが、課題を見つけては小さな改善策を実践するのもまた、小さな達成感!?を楽しめます。おそらくまだしばらく続くであろうテレワーク生活。少しでも快適に仕事が進むよう工夫してみたいと思います。

◆第12回 スーパーでのSocial distancingはすっかり日常の光景に◆

14 April 2020

外出禁止令から3週間が経過しました。

 

買い物の仕方などにも皆慣れてきて、待っている間や店内でのSocial distancing (2mの距離)もだいぶ守られています。買い物に夢中ですれ違う際2m以内に侵入!? してしまう人もいますが、そんな時は眉をひそめたり自分が立ち止まり距離を取る人も少なくありません。今は2mの距離がないと落ち着かない感じです!

 

大手スーパーは、次のような様々な工夫を続けています。

• 入店人数を制限する。

(そのため店の外に長蛇の列ができることも多く、週末は入店に2時間待ちのことも−写真)

• 入店待ちの人にもsocial distancingの看板を出す。(写真)

• ショッピングカートの返却場所を1カ所にまとめ、持ち手など消毒してから次の人に渡す(写真)

• 購入数の制約はもうさほど実施しないものの、レジでは購入品目数をチェックし、必要以上のまとめ買いと思われた場合は数を減らしてもらう。

 

私はカートの持ち手を消毒してくれるお店を極力選んでいます。店にとってはとても大変な作業だと思いますが、少しでも安心して買い物できるのはやはりありがたいことです。

が、大手スーパーは入店までの長蛇の列を想像するだけでげんなりするようになり、最近は地元の小さなお店で済ませることも多くなりました。



◆第13回 99歳の果敢なチャレンジに英国中が感動◆

15 April 2020

 ここ数日、元軍人のトム・ムーアさんのチャレンジに全英から大きな注目が集まっています。

 

第二次世界大戦からの生還者でもある99歳のトムさんは今回、NHS(国民保険サービス)のために「4月末の100歳の誕生日までに自宅の庭を100往復する」というチャレンジとともに募金を呼びかけました。

 

チャレンジを通じて募金を呼び掛けるというスタイル自体は英国ではごく日常的に行われていますが、片道25mを100往復、歩行器を使ってほぼ毎日懸命に歩くトムさんの様子がニュースなどで取り上げられると、国中から多くの賞賛の声が集まり、当初の募金目標金額1,000ポンド(約13万5000円)をあっという間に達成。500,000ポンド(約6,750万円)へ引き上げるとそれもすぐに到達し、昨夜の時点では330万ポンド(約4億5000万円)を超える寄付が集まっていました。今この記事を書いている時点ではなんと650万ポンド(約8億7000万円)になっています。

 

それでもトムさんは、100往復が終わってもさらにもう100往復に挑戦し続けるとのこと。

高齢にもかかわらず果敢に自分の限界にチャレンジすることで国民に協力を呼びかけるその姿に英国中が共感・感動し、一丸となって国難を乗り越えようという国民の気運があらためて高まっているのを感じます。

 

(写真は私が昨夜募金した時点での募金サイトです。)

◆第14回 家飲み需要が増加 ビールのドライブスルーサービスも◆

16 April 2020

 今イギリスでは「生活必需品」を販売する店のみ営業が許可されていますが、「何を生活必需品とみなすか」をめぐっては当初議論がありました。そしてアルコール飲料が生活必需品のひとつとみなされたことに多くのイギリス人が安堵したはずです。

 

イギリス人はとにかくパブが好き。夕方になると地元のパブにふらりと立ち寄って一杯(数杯!?)飲み、そこにいる人たちと談笑するのが何より楽しみなのです。これがなくなってしまった今、唯一の楽しみは、家飲みです。

ビールを何箱も積み上げた写真と「これだけあれば大丈夫。いや、数日しか持たないか。(笑)」といったコメントをSNSにあげる人もたくさんいました。

それぞれが家から参加してのZoom飲み会も増えています。私も先日友人とのZoom飲み会に参加しましたが、これはこれでなかなか楽しめました。

 

スーパーではアルコール飲料の売上が以前より増えています。ワイン専門店の人は配達依頼が多くて対応しきれないほどだと言っていました。

 

地元で有名な地ビールの会社は「ビールは生活必需品」と強調(写真)、配達サービスのみならず新たに「ドライブスルーサービス」まで始めています。客は車で醸造所に直接行き、購入するビールを決めたら支払いはコンタクトレスカード決済。(カード決済端末を長い棒の先に固定し、お客さんと従業員の間のSocial Distanceが保てるようになっています!)あとはビールを箱ごと車のトランクに積み込むだけです。

 

これから夏が近づくとみんなますますパブを恋しがることでしょう。ビール片手にまた集えるようになるまで、家飲みで我慢する日がまだ続きます。

◆第15回 地域コミュニティの助け合い◆

17 April 2020

 イギリスには「困っている人を放っておかない・放っておけない」という素晴らしいカルチャーがあります。外出禁止令下の今も、その精神がお互いを支えています。

 

「既往症のある人・妊婦・70歳以上の人は外出を控える」

「症状が出ている人は自宅で自主隔離」といった通達が政府から出て以来、

・同じ通りの住民でWhatsApp(LINEに似たアプリ)でグループを作る

・町全体でボランティアのチームを作る

 

など、地域コミュニティでの自主的な助け合いがイギリス全土で拡がっています。

 

写真は私が住む小さな町で作ったボランティアグループのFacebookページです。

各家庭にチラシを配り、サポート希望時の連絡先を告知。連絡があればリーダーや居住エリアのコーディネーターがグループへの連絡・ボランティアのアレンジを行うしくみになっています。

◆第16回 外出禁止令3週間延長 新キャッチフレーズも◆

20 April 2020

 イギリス政府は先週木曜日夕方、外出禁止令を5月7日まで3週間延長すると発表しました。「最短でも5月7日まで」と、状況によってはさらに延長される含みももたせています。

 

この発表に合わせ、金曜日朝の全国紙は一斉に一面に同じ政府広告を掲載(写真)。

 

英国政府は外出自粛キャンペーンのキャッチフレーズをその都度変えています。

前回は「Stay at home, Protect the NHS, Save Lives」。イースター休暇前には「This Easter, Stay at home 」というバージョンもありました。

そして今回は「All in, all together, Stay at home」。

”at home”をスタイリッシュなロゴにするなど、なかなかよく考えてあります。

 

日々のニュースからロックダウンを解消できる状態ではないことは明白で、今回の延長には驚かないものの「これがまだあと3週間続くの?」とげんなりしている人も多いはず。

そうした状況を鑑み、国民に気を引き締めてもらうため、政府は今回のキャッチフレーズの変更、全国紙への全面広告という手を打ってきたのでしょう。

 

金曜日のニュースによれば、政府は「夏休みの旅行計画はまだ立てないように」とも言っているそう。長丁場になりそうな予感…キャッチフレーズの更新が終わる日を待ちながら、めげずに頑張ります。

◆第17回 ホームヘアカットで笑いも社会貢献も ◆

22 April 2020

外出禁止になって困っていることの一つが、美容院や理髪店が休業中なこと。そこで始まったのがおうち美容院。

 

SNSには「(トラ刈りの画像と共に)こんなになっちゃいました」「息子たちに髪を切らせてみました」といった笑える投稿が沢山アップされています。

 

そして我が家も例外ではなく、先日私が息子と娘の髪を切りました。息子は案の定「左右で長さがちょっと違うんだけど」と不満げ。「文句言うなら次回は丸刈りにするよ!」と脅しています。(笑)

 

このホームヘアカットを社会貢献活動につなげる動きも始まっています。例えば、イングランド・ラグビーセブンのAlex Davis選手は 「Shave Donate Nominate」というキャンペーンを立ち上げました。

過酷な医療現場で戦い続けているNHS(国民保険サービス)のスタッフへの募金活動として、自分が丸刈りにして専用ウェブサイトで寄付をし、次の賛同者にバトンを渡していくというものです。

これにはラグビーセブンの選手が次々と参加、やがて一般の人たちにも拡がり、募金額は現在約2万5,000ポンド(約340万円)にも達しています。

 

もともと自虐的なギャグの好きなイギリス人ですが、困難も笑いに変え、ついでに社会貢献もしてしまうというイギリス人の心意気、素敵だなと思います。


◆第18回 イギリスのイノベーションを守れ 中小企業支援策を追加発表◆

23 April 2020

イギリス政府が「給与80%補償」などの企業支援策を打ち出してきたことは、以前の投稿でもご紹介しました。イギリスでは日本と同様に中小企業の比率が高く、その支援はイギリス経済のこれからにとって最重要課題といえます。

 

今回、特別貸付制度(政府が80%返済保証)や特別給付金の支給などの支援策がいち早く発表されましたが、まだ実績の少ないスタートアップや研究開発が中心の中小企業など、これらの支給対象条件を満たすことができない企業も少なくありませんでした。

 

そこで4月20日、イギリス政府は、テックスタートアップや技術開発が中心の中小企業に向けて次のような支援策を新たに発表しました。

 

• Future Fund (未来ファンド)と呼ばれる5億ポンド(約675億円)のマッチ・ファンドを設立。イギリス政府と民間投資企業が50%ずつ出資し、高成長が期待されながら新型コロナの影響を受けているスタートアップへの投資を行う。

 

• 技術開発中心の中小企業向けに、総額7.5億ポンド(約1,012億円)の補助金や貸付金を用意する。

 

イギリスにはイノベーションを生み出しているスタートアップが数多くあり、中でもテック関連のスタートアップには世界の投資家も注目しています。技術開発に強いイギリス中小企業とのコラボを求める大企業も珍しくありません。

 

今回の発表は、中小企業支援を手厚くすることでイギリスのイノベーションをなんとしても守りたいという政府の気概が感じられます。

これらがうまく機能するのか、またスタートアップ企業からの反応がどうか、引き続き注視していきたいと思います。

◆第19回 人手不足で野菜もミツバチも危機に◆

26 April 2020

 イギリスに国産アスパラガスやイチゴのシーズンがやってきました。

野菜や果物のほとんどを輸入しているイギリスですが、これから夏にかけて店頭に国産野菜や果物が並び始めます。

 

しかし、新型コロナの影響で収穫の人手不足という事態が起こっています。イギリスでは果物や野菜の収穫は主に東欧からの移民労働者に頼ってきたのですが、新型コロナの影響でほとんどの人が故郷に帰国してしまいました。

 

今は一時待機措置や解雇になった人、ビジネスを中断せざるを得ない個人事業主、学生などがこの仕事に多数応募しているそうですが、それでもまだ人手が足りず、東欧からの労働者を飛行機で受け入れたというニュースもありました。

 

そして他にも野菜や果物の栽培に欠かせないものが不足しています。それは、ミツバチ!

普段なら、養蜂場から農家にミツバチの巣箱が届き、受粉が終わったらまた次の農家へと運ばれ…という具合なのだそうですが、今年は新型コロナの影響で巣箱を配送する人員が足りないというのです。ミツバチがいないと受粉が十分できず果物や野菜の収穫量が減るのはもちろんのこと、花の蜜を吸えないことでミツバチ自体の数まで減ってしまうのではと危惧されています。

ここのところただでさえ寄生虫や殺虫剤の影響でミツバチが激減しているところに、新型コロナの追い打ち。なんとか良い手はないものでしょうか。

 

いつもより神妙な気持ちで今年最初の貴重な国産アスパラガスをいただいています。

◆第20回  if で大炎上!真似したくない政治家の失言◆

28 April 2020

 イギリスではマスクやガウンなど医療用防護具の慢性的な不足が大きな問題になっています。(日本でも切迫していると聞いています。)

EUからの購入を選択しない(明確な理由は不明ですが政治的な意図も?)、トルコから大量購入するも到着が遅れるなど、政府に対して国民からも不満の声が高まる中、こんなこともありました。

 

2週間ほど前、英国政府は「全力を尽くして医療用防護具(PPE – Personal Protective Equipment)の確保に努めており、すでに7億5,000万点を供給している」と発表。ところが全国の医療機関からは「現場では全く足りていない」との反論が多数寄せられました。それに対し、マット・ハンコック保健相はこうコメントしました。

“There is enough PPE to go around, but ONLY IF it’s used in line with our guidance.”

「規定通りの使い方をしていただいていれば足りないことはないはずですが…」

 

“only if ” 以下によって、現場の医療関係者が無駄な使い方をしているからだ、と聞こえるこの発言は、あっという間に大炎上!

 

ところが、その日の夕方に行われた記者会見を担当したプリティ・パテル内務大臣(写真-Reutersより)の次のコメントも、火に油を注ぐこととなりました。

 

"I am sorry IF people feel that there have been failings. ”

「私どもに落ち度があると皆さんに感じさせてしまったならお詫びします。」

 

企業の不祥事の釈明会見などでも時折耳にする”I am sorry if….”という言い回しですが、” if ” 以下で「自分たちは悪くない」というニュアンスがにじみ出て、かえってひんしゅくを買うことに。

誠意ある謝罪に “ if ” は無用。一番大切なメッセージ ”I am sorry” だけにするのが賢明と感じます。

 

日頃からニュースや政治家の発言を英語表現のお手本にしていますが、これは決して真似したくない “ if ” の使い方ですね。

◆第21回 無人配送車がNHSスタッフの支援にも一役◆

29 April 2020

 毎日必死で国民の命を守っているNHS (国民保健サービス)。そのスタッフには長時間労働のため買い物に行く時間も取れない人が数多くいます。

 

そんな中、イギリスのミルトンキーンズ (Milton Keynes) 地区では米国・Starship Technologies社の無人配送車を使い、NHSのスタッフ向けに買い物の無料配達サービスを提供し始めたとのこと。アプリ経由で申し込みもでき、スタッフの皆さんは大助かりなことでしょう。

 

この無人配送車は、2018年から同地区でのスーパーの配達や飲食店のデリバリーなどに大活躍しています。蓄電池で稼働し、歩道を最高時速6kmで走行、半径6km圏への配達が可能です。

写真(Sky Newsより)のコメントには「ミルトンキーンズではこの無人配送車が走る光景はごく日常のものだ」とあります。

 

弊社ではイギリスの自動運転技術の動向に注視していますが、実証実験に市中の広範囲が使用できる、都市間で自動運転車を走らせるなど、実装に近い状態で実証を行うのがイギリスの特徴です。

ミルトンキーンズは比較的街が新しく道路や歩道が広く平坦に整備されていることから、このような自動運転車の導入がスムーズでした。

石畳や傾斜のある歩道の多い昔からの街並みが今も多く残るイギリス。どんなところでもこの無人配送車が難なく配送してくれる日を心待ちにしています。

◆第22回 ハイテク国・日本のローテク側面に驚きも◆

3 May 2020

 新型コロナで外出自粛令下の日本を、次のように驚きとともに紹介する記事を最近目にします(写真はFinancial Timesの記事)。

「今でもFaxが使われている」

「ゲーム攻略『本』が大人気」

「インターネットバンキングより従来型の銀行取引が今も多い」

「テレビのニュース解説でホワイトボードや紙のフリップが活躍」

「押印のためにやむなく出社する人もいる」

 

イギリス人の多くが日本に対して持っているイメージは「超ハイテク国」。日本の街のほとんどはスマートシティーで、社会全体で自動化・デジタル化が進み、若者から高齢者まで最新技術を駆使して暮らしているーそう思っていたので、こういったローテクな側面があることがとても意外なのかもしれません。

 

英国を含む欧州では、2014年に電子認証や電子署名が法的に有効となり(eID & eTS https://ec.europa.eu/digital-singl…/…/trust-services-and-eid

)、今ではすっかり定着しています。

 

弊社が日本企業様と紙で交わす契約書では、お客様のご希望により「電子署名、Emailなどの電子的な送付方法においても成立する」という条文を加えています。このような対応さえしっかりしていれば電子化状況の違いが大きな支障になることは今のところありません。

が、この機に日本でも電子署名や電子印鑑推進の動きが進めば、日欧間のビジネスはより円滑になっていくかもしれません。

◆第23回 イギリスの強み「産官学協働」で大胆な目標も達成◆

4 May 2020

 

先週、イギリス政府は「新型コロナのピークは超えた」と発表、今週木曜日にロックダウンの解除計画が発表されることになっています。

 

ロックダウン解消の重要項目の一つとなっているPCR検査の実施件数については、紆余曲折がありました。

 

ロックダウン直後の3月末頃、政府は検査件数を重視していませんでした。

しかし、医療従事者、介護施設スタッフ、公的サービス従事者など「キーワーカー」と呼ばれる人たちが軽い体調変化でも大事をとり休まざるを得ない状況が頻発し、人手不足が問題に。検査で陰性のキーワーカーが仕事を継続できるよう検査件数を増やすべきとの声が高まり、政府は急遽方針を変更しました。

 

4月上旬、検査件数が数千~1万件/日程度にとどまっていた中、マット・ハンコック保健相は「4月末までに10万件/日に増やす」と発表しました。

とはいえ、残り1週間という段階でも2万9千件/日。達成はほぼ無理だろうという声が大半でした。

ところがその後大きく件数を伸ばし、4月30日には12万2,347件/日を達成したのです。

 

一見無謀とも思われた大胆な目標の達成には、政府の柔軟な方針転換に加え、イギリスの強みである「産官学の協働」が大きく寄与しています。

政府、大学、企業、軍などが一丸となり、検査センターや検体分析施設の設立、在宅検査の導入、検査キットや検体の配送の仕組みなどを素早く整えたのです。関係者の尽力に本当に頭が下がる思いです。

 

ロックダウン解除に向け少しでも前進できたことはとても喜ばしいことですが、まだまだ気を緩めず、政府のロックダウン解除計画を心待ちにすることにします。

 

(写真:BBCニュースより。ドライブスルー検査センターに到着した医療従事者)

◆第24回 イノベーションと驚異の実用化スピードが命を救う◆

6 May 2020

1ヶ月ほど前、イギリス政府から「救急車を短時間で消毒できるアイディアや技術を緊急募集」という通達がありました。

 

新型コロナ患者を搬送した救急車は消毒に1時間以上かかります。少しでもその時間を短縮することで一人でも多くの命を救おうというものでした。

 

そして先週木曜日(4月30日)にあった政府の報告に、大変驚きました。

 

通達後7日間で200件を超えるアイデアが集まり、防衛科学技術研究所とウェールズ救急隊がすぐにその内容を精査。

消毒液を噴霧する、特殊なスプレー技術を活用するなどの12件について、救急車を使った実証実験を実施しました。中には10分で消毒を完了したものもあり、早ければ今週、来週にも実用を開始することになったとのこと。

 

募集からたった1ヶ月で有望なアイデアや技術を検証、実用化にこぎつけたのです。

 

こういった時にすぐに活用できるイノベーションが英国内にあることの素晴らしさはもちろんですが、検証・実証・実用化までの「驚異的なスピード」こそが今の英国が持つ大きな強みであることをあらためて感じさせられた出来事でした。

◆第25回 ポジティブ思考もさすがに息切れ…“コロナ疲れ”気味の今◆

8 May 2020

ロックダウン直後、SNSでは、

“今まで試したことのない趣味や料理に挑戦!”“新たな学びの機会!セミナーに参加!”“学校が休みでもこんな教育サイトが”“子どもとこんなプロジェクトを!”

など、「Stay at home状態をポジティブに捉えて頑張ろう」という投稿があふれました。

 

しかし外出禁止令から7週間が経過した今では「コロナ疲れ」の声が増えています。

“テレワークしつつ子どもの勉強もみて、入店制限でかつての倍以上時間をかけて買い物…あっという間に1日が終わる。

それ以上のことをする余裕なんて全然ないし、頑張り過ぎはもうウンザリ!“

 

そして

“自分にもっと優しくなろう”

“とにかく今は元気で1日を過ごせただけでも十分”

など、「無理せずいこう」というトーンが強くなってきています。

 

ビジネスの場面でも、プロジェクトも自分の仕事もきちんと進んでいるがオンライン会議ばかりですごく疲れる、といった声が。

ビデオ通話で会話ができるだけ救いですが、私自身も人とリアルで会えない辛さが身に染みます。人と直接会うことで「気」を交換でき、それが元気の素だったのかもしれません。

 

政府が先日行ったメンタルヘルス調査では、84%が「新型コロナが生活に与える影響を心配している」、53%が「心身の健康状態に影響している」と回答、47%が強い不安を感じているという結果が出ました。

これを受け政府は4月中旬から「Every Mind Matters(一人一人の心が大切 )」というキャンペーンを開始しています。

 

イギリスでも近年メンタルヘルスの重要性が指摘されてきていますが、支援体制にはまだまだ課題が多いのが現状です。必要とする人が増えている今、的確なケアを迅速に受けられる体制をしっかりと整えてほしいと強く願っています。

◆第26回 コロナ後の旅の姿とインバウンド需要の取り込み策◆

11 May 2020

航空会社各社がリストラを余儀なくされるなど、新型コロナでイギリスの旅行業界は大きな打撃を受けています。

そんな中、世界中の旅行者1,500人を対象にした飛行機での旅に関するアンケート結果のレポート(アンケート実施:m1nd-set社、レポート:TRBusiness社)を目にしました。

その概要をご紹介します。

 

「渡航制限が解除されたら、飛行機で旅行したいと思うか?」の問いに対し、約6割が「制限解除後3ヶ月以内にしたい」と答えました。(写真・日本語は弊社が追加)

 

また33%が「渡航制限解除後6ヶ月間は海外出張がない、あるいは減るだろう」と回答、理由として下記を挙げました。(複数回答)

 

• 会社の出張予算削減   63%

• 不景気で出張の必要性が減る  56%

• オンラインミーティングが増える 29%

• 便数が減り、目的地までの乗換などがスムーズに

  行かなくなる                  23%

• 旅行中フライトのキャンセルなどが発生する   22%

• 展示会や会議などのイベンが中止になる    19%

 

そして60%が「免税店などの店舗には入らない」、50%が「試食や試用はしない」と答えました。

 

これらの結果を受け、レポートでは

「免税店も事前オーダー&搭乗口受け取りなど新たな対応が求められる」

「安全対策としてキャッシュレスやコンタクトレス決済を増やす必要がある」

としています。

 

これらの対応は、インバウンド需要取り込み策としても非常に有用だと私は思います。コンタクトレス決済では、国や地域に限定しない、国際的に通用する方式の採用が望ましいでしょう。

◆第27回 毎週木曜20時は電力需要にもインパクト◆

14 May 2020

写真はイギリスの配電業社Western Power Distribution社に勤める知人がシェアしてくれた、ある木曜日の夕方の電力需要グラフです。

数値が最も低くなっている「20時」は、以前ご紹介したように、イギリス全土で国民が外に出て、医療従事者・介護施設スタッフ・公的サービス従事者など「キーワーカー」(日本ではエッセンシャルワーカーとも呼ばれているようですね)に向けて感謝と励ましの拍手を送る時刻。

3月26日に拍手が始まって以来、毎週木曜は同様のグラフになるそうです。

 

そして20時を少し過ぎると数値が急上昇するのは、拍手を終えた人々が「さあそれじゃあお茶にしようかね」となるから(イギリスは電気ケトルが主流)。我が家も同じです。笑

 

ロックダウン後、電力需要が減る一方で、好天続きで発電向きの風が吹くこともあり再生可能エネルギー発電量が増加しています。

電力の需給バランスが崩れると供給の停止につながるため、給電指令所の近くに簡易宿泊所を作り24時間体制で調整しているとのこと。

あるのが当たり前と思いがちな電気もまた、同じくキーワーカーである電力関係の方々の大変な努力に支えられています。

◆第28回 新型コロナで変わる英国のモビリティー◆

25 May 2020

5月10~12日にかけて、イギリスではロックダウン解除に向けた計画が政府から出されました。「感染の状況を見ながら、条件付きで慎重に進める」という姿勢をとっていることもあり、日常生活にそれほど大きな変化は出ていません。

 

今回特に注目されているのは、次の指針です。

・可能な人は自宅勤務の継続を推奨する

・難しい人は安全を確保した上で職場に戻ってよいが、公共交通機関の利用を避け、できる限り徒歩、自転車、または車で移動する。

 

これを受けロンドン市は、一部道路を自転車・歩行者専用道路にする計画を発表しました。それによれば、ロンドン郊外から中心部への自転車専用道路も整備される予定です。(写真:ロンドン中心部の計画。The Guardianより)

ロンドン市長は5月24日「ロンドンでは116kmに及ぶ自転車専用レーンが用意される(一部工事中)」と言及。完成後はこれまでの自転車専用道路の2倍の距離になるそうです。

 

また地方でも、自転車や歩行者の安全を確保するため歩道を広げたり、自転車専用レーンを作るなどの計画が次々に発表されており(写真:ニューカッスル市の計画)、すでに工事が始まっているところもあります。

これまでイギリスで長年にわたり問題となってきた交通渋滞や大気汚染も併せて考えると、これらの対策は一時的なものではなく恒久的なものになるのではという気がします。

インフラのみならず、MaaS (マース:Mobility as Service)のようなソフト面においてもさらなる開発、導入が進むきっかけになるでしょう。

 

新型コロナをきっかけに、英国のモビリティーもまた、大きく変わりそうです。


◆第29回 子どもの学校再開をめぐって -1-◆

3 June 2020

ロックダウン緩和が徐々に進むイギリスですが、子どもたちの学校についても6月1日から一部学年に限定して再開されることになりました。

小学校で再開対象となる学年は、Reception(レセプション)と呼ばれる日本の幼稚園年中の年齢、Year1(日本の幼稚園年長の年齢)とYear 6(日本の小5の年齢)。中学・高校は、重要な全国テストを来年受けることになる学年が優先となるようです。

 

ただしこれは政府主導での画一的な判断ではありません。ソーシャルディスタンス確保などの安全対策がとれる学校のみが対象という大前提の下、学校、保護者、子ども自身、それぞれが再開の有無の意思を自由に決定することができます。もっともイギリスでは以前からホームスクールなど通学以外の選択肢も違和感なく認められているので、特別な驚きはありません。

 

我が家の娘はYear 6。まずは学校から保護者に対し、6月1日以降の意向を以下3択から選ばせる無記名アンケート調査がありました。(写真は学校からの手紙)

1.子どもの通学を再開させたい

2.子どもを引き続き自宅待機にさせたい

3.通学を再開させるかは学校が提示する安全対策によって決めたい

この結果、8割の保護者が「通学を再開させたい」と回答。学校は再開に向けて動き始めました。

 

(明日の-2-に続きます)

◆第29回 子どもの学校再開をめぐって -2-◆

04 June 2020

娘の小学校が再開を決めた一方で、別の学校では「通わせたい」との回答が2割しかなく、再開しないことを決定。

1日付の全国紙では、約半数の家庭が子どもの通学を再開させない決断をしたと報じています。

子どもたちが本当に感染を回避できるのか、特に年中・年長の子ども達がソーシャルディスタンスを守るのは難しく安全を守れないのではという声が多いのが現状です。

 

娘の学校からはその後メールが届き、教室内の生徒数を限定する、机や椅子の配置替えを行う(写真)備品を極力共有しない、学校に持参したものを家に持ち帰らせない、などの安全策の詳細な説明が書かれていました。

併せてあらためてアンケート調査があり、自分の子どもを学校に通わせるかホームスクーリングを続けるかの最終判断を記名で回答しました。

 

また子どもたち向けには、先生たちが作成した動画をホームページ上に掲載。

学校に到着した後の感染防止手順、教室内の様子、2mのソーシャルディスタンスを守ること、一緒に行動するのは同じクラスのクラスメイトに限る、などが伝えられました。

 

我が家ではかなり悩みましたが、学校での感染を回避できるか心配な一方で小学校最終学年という大事な時期でもあることから、娘本人の意志も尊重し、学校が再開される3日から通学を再開しました。

 

子どもたちみんなが元気な笑顔で過ごし、7月下旬の最終学年最終日を無事迎えられるよう、祈っています。

◆第30回 マスクをしたがらないイギリス人◆

21 June 2020

新型コロナの感染拡大真っ最中も、少しずつ収束へ向かっている現在でも、英国内で議論が続いているのが「マスクの有用性」です。

 

欧州では複数の国でマスク着用が義務化されましたが、イギリス政府は今でも「マスクの感染抑制効果は科学的根拠が乏しい」という見解を貫いています。

 

感染拡大中から「咳やくしゃみで出る飛沫の飛散防止には特にマスクが有効」といった様々な科学者の見解が全国紙に掲載されましたが、政府の姿勢は変わらず。「マスクを買い占めで医療機関がマスク不足になるのを恐れてでは」といった憶測まで飛び交いました。

 

マスクの流通が安定し買い占めの心配が無用となった現在でも政府から着用推奨の見解が出されることはなく、日本人の私としては不思議でなりません。

 

とはいえ、ソーシャルディスタンスの確保が難しい公共交通機関では6月15日からフェイスカバー( Face Covering)の着用がようやく義務付けられました。顔を覆えればマスクでなくてもよく、バンダナで代用する人もいるようです。(日本では義務化されなくてもほとんどの人がマスクをしてソーシャルディスタンスを守ろうとする場面が多いと聞いていますが!)

 

スーパーなどでも約半数の客が自主的にマスクを着用している一方で、多くのイギリス人は日本人と比べてマスクを着用すること自体に抵抗感を感じるようです。

 

英語の会話では日本語よりも口が動きます。また英国内では多様な国や地域出身の人のアクセントが入り混じりながらコミュニケーションをとることが日常的です。そのため人々は、言葉を聴くと同時に、口元をよく見たり表情から相手の感情や反応を読み取ることで、自然に少しでもスムーズにやりとりしようとします。

マスクで口元が隠れてしまうとそれらがとてもしづらくなることが、抵抗感の理由のひとつかもしれません。

 

私がマスクをつけて誰かと話す時には、唯一相手に見えている「目」の表情や視線、そして目ヂカラ!で、少しでもコミュニケーションがスムーズになるよう心掛けています。そのためリアルでの会話よりもマスクなしでコミュニケーションが取れるオンラインでの会話のほうが今ではむしろ楽に感じたりもします・・・。

◆最終回―ロックダウンから4ヶ月が経過して◆

13 July 2020

5月開始から約4ヶ月が経過した英国のロックダウンですが、6月から少しずつ緩和されました。6月15日からは生活必需品以外を扱う小売店が、さらに7月4日(土)からはパブ、レストラン、理髪店・美容院、映画館、ホテル、美術館、動物園なども営業を再開しています。(本日7月13 日からはネイルショップなどが、スポーツジムなどは7月25日から再開の予定です。)

 

大きな関心を集めたのは、イギリス人にとって日常生活に欠かせないパブの再開時刻。待ちに待った解禁日7月4日(スーパーサタデー)前日の記者会見ではジョンソン首相自らが「皆さんどうか責任感と節度を持って行動してください。」と呼びかけ、待ちわびた人たちが再開時刻の朝6時にパブに駆けつける光景が全国で見られました。(写真は Forbes, Chronicle Live, The Guardianより)

 

とはいえ店舗やレストランは2mのソーシャルディスタンスの確保、あるいは1mの距離+追加措置(透明な仕切りの設置、マスク着用、屋外に席を設置など)が求められ、席数を減らし衛生面での追加コストをかけての厳しい経営が続きます。

 

日常生活では、2家族が会う場合は屋内・屋外を問わずOK。複数の家族が集う場合は屋外で計6人までなど、様々な制約が残っています。こうしたルールを無視しマスクをしない・3密を避けようとしない人も多く、新型コロナ第2波を心配する声も。一部の市や地域では再度ロックダウンを実施しています。

 

ビジネスにおいては、多くの企業や組織で全従業員の自宅勤務を継続中です(製造業や建築業などを除く)。オフィス出勤は早くて9月、年明けからと発表した企業も複数あります。今後は自宅勤務とオンラインでの打ち合わせが普通になるというという予想もよく聞かれます。

 

ロックダウンから4ヶ月、イギリス国内の全てが停止したような状態の中にあっても、店舗や企業、人々が前代未聞の状況にも適応し、工夫して力強く生き抜いている様子をご報告してきました。

 

この経験は弊社や私自身にとっても大きな学びがありました。それを今後の生活や仕事にどう活かせるかは、近日中にあらためてお伝えできればと思います。

これからも人の力を信じて、世の中の動きを見守り、新たな学びを得、行動に移してゆきたいと思います。 


 

これまで約30回にわたり投稿してきました【新型コロナウイルス -イギリスでは今】はこれが最終回となります。ここまでお読みいただき、また多くの皆様から応援のメッセージをいただき、ありがとうございました。
世界的にまだまだ予断を許さない状況が続きますが、皆様の毎日にいつも笑顔がありますように。