低炭素排出車両技術の将来像

APCテクノロジーロードマップ2020(日本語版有)のご案内

15 September 2021

カーボンニュートラルの目標達成に向けた運輸業界での排出削減の重要性は、今日では世界的な共通認識となっています。

英国はこの重要性に早くから注目し、CO2排出量の約25%を占める運輸業界の排出削減に向けて様々な手段を講じてきており、2018年の段階ですでに世界初の「ゼロエミッション車サミット(弊社記事)」を主催しています。

 

英国政府はこのサミットでゼロエミッション車の開発・生産で英国が世界をリードしていく姿勢を示していましたが、その宣言通り、主要国に先駆け2050年までのカーボンニュートラル達成を法令化したほか、2030年までにガソリン車・ディーゼル車の新車販売禁止、ゼロエミッション車以外の車種の新車発売を2035年までとする等を次々に発表しています。

 

詳細の目標や計画は、以下に記載されています。

2020年11月発表「The Ten Point Plan for a Green Industrial Revolution(グリーン産業革命10箇条)」(弊社記事)

2021年7月発表「運輸部門における脱炭素化計画(弊社記事)

 

これらの目標達成に重要な役割を果たしているキープレーヤーの一つに、APC (Advanced Propulsion Centre ―英国先端推進システム技術センター)があります。

今回は、APCが提供してきた貴重な知見の中でも特に日本企業の皆様にとってご関心が高いと思われる「テクノロジーロードマップ2020」をご紹介します。

 

 「テクノロジーロードマップ2020」は、APCが英国自動車協議会(UK Automotive Council)と自動車産業と共同で作成したもので、自動車駆動システム6分野において、2040年に向けて関連技術がどのように進展するかを予測分析しています。

 

2020年版は世界中の150の企業や組織からの知見をベースとし、2017年版から内容がアップデートされました。

弊社は今回、この日本語版の作成を担当させていただきました。

 

このロードマップでは、技術動向のみならず素材やリサイクルの動向もカバーし、詳細な解説により深い洞察が得られるよう構成されています。

モビリティにおける共同研究開発の機会創出、将来的な課題の明確化とその解決に向けた世界水準での技術開発促進が、このロードマップ発行の趣旨であり、自動車メーカーやサプライヤー企業はもちろんのこと、同様の技術が使用されるエネルギー業界においてもご活用いただけます。

 

ロードマップがカバーするのは以下の6分野です。

 

電力貯蔵 (Electrical Energy Storage)

バッテリーセル、バッテリーパックそれぞれの技術ロードマップ、セル材料、設計、大量生産に向けた商業化の動向 

 

●電気モーター  (Electric Machines)

電気モーターのアーキテクチャおよび統合、熱管理、材料開発、製造の革新

 

●パワーエレクトロニクス (Power Electronics)

自動車駆動システム技術の中で最も進化のスピードが速い分野。

インバーター、DC/DCコンバーター、車載充電器等の費用や性能の推移予測も掲載。

 

熱推進システム (Thermal Propulsion Systems)

脱炭素化に向け厳しい目標設定が法令化されるなか、エンジンの効率性を高め、脱炭素燃料使用を可能にするための基盤技術。

 

●軽量車両とパワートレイン構造 (Lightweight Vehicle & Powertrain Structure)

長年注目されている分野。

 車両プラットフォーム設計関連の新たな手法、マルチマテリアル、量産市場向け軽量化の鍵となる素材や技術。

 

●燃料電池 (Fuel Cell)

2020年版で新たに加わった分野。

燃料電池のスタック、バランスオブシステム、商業化に向けた燃料のマネジメントなど包括的にカバー。

将来のパワートレインソリューションに最適な化学物質についても言及。

 

 

テクノロジーロードマップ2020は、APCウェブサイトよりどなたでもダウンロードできます。

(各レポート名の下にある"Select Downloads”を押してください。次のページでReportを押していただくと、英・日・独・韓・中の5か国語からお選びいただけます。)

 

 

【APC(Advanced Propulsion Centre ―英国先端推進システム技術センター)について】

 

APCは、英国政府、自動車産業、学術機関と連携しながら自動車関連技術の商業化を加速させるために、政府補助金プロジェクトの運営、産官学協働支援、知見の提供などを行う機関です。

2013年の設立以来、402の企業や組織が参加する170の低炭素排出車両関連補助金プロジェクトを実行、スタートアップから上場企業まで幅広く支援し英国内で約5万人の雇用を創出してきました。

これらのプロジェクトから生まれた技術により、CO2の排出を2億8,800万トン(乗用車1,200万台分の排出量)削減できると見込まれています。

 

APC は英国自動車産業だけでなく国際的な協業も積極的に支援しています。ATF自動車変革基金(Automotive Transformation Fund )プロジェクトによる日英間協業の支援もそのひとつです。

 

英国は、EV(電気自動車)関連の包括的なサプライチェーンを英国内で構築し、そこで生産したEVを世界市場に送り出すというシナリオに向け動いています。

大規模ギガファクトリーの設立に欠かせない外国企業の誘致のほか、英国内のメーカーに対しても技術の商業化や大量生産化を支援しています。

今年7月に発表された日産自動車社とエンビジョンAESC社による10億ポンド(約1,500億円)を投資しての大規模バッテリー工場(ギガファクトリー)の建設はその一例で、APCはATFへの申請から正式発表まで一連の支援を行いました。

 

APCはATF自動車変革基金制度の下で英国国際通商省と協働し、海外企業の英国拠点候補地の選定、許可申請、政府関連部署への紹介など、英国でのビジネス展開プロセスを速やかに進め事業成功に繋がるよう、サポートしています。

 

APCが最近発表した記事(日本語PDF・下記ボタンよりダウンロードいただけます)では、自動車業界における世界的なカーボンニュートラル目標達成のためには更なる日英協力が重要と述べ、関係強化を積極的に支援する姿勢を見せています。

 

 

ダウンロード
APC 人と車のテクノロジー展発表資料 2021(日本語).pdf
PDFファイル 666.6 KB

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