BBCインタビュー  日本の企業文化「働き方改革について」

05 April 2019

英国では日本への関心が高く、ラジオやテレビ番組では折に触れ日本の文化やビジネスがとりあげられています。4月3日、弊社代表江口・ベイコン昌子が英国国営放送(BBC)「BBC Scotland Kaye Adams Show」(ラジオ番組)の生放送インタビューを受け、日本の企業文化についてコメントしました。

プログラムの冒頭では、4月1日から日本で「働き方改革関連法」が施行されたこと、それにより企業は残業時間の上限遵守を求められることなどが紹介されました。長時間労働が長年常態化し、過労死がなくすべき深刻な問題としてようやく認識され、ついに政府が法制化に乗り出したという日本の実情は、英国及び欧州の人々にとってはどうにも想像しがたいことなのです。

 

 

インタビューの概要は下記の通りです。

 

Q:「仕事第一」「働きすぎ」の価値観が生まれた背景は何か?

A:1960年代から1970年代初頭にかけて高度経済成長期となり、経済成長率年10%以上という、稀に見る経済成長を遂げた。日本人は本来勤勉ではあるが、この時期に私事よりも仕事優先という価値観が生まれたと感じている。

 

Q:いかに仕事熱心であるとはいえ、過労死するまで働くことは容認されているのか?

A:過労死が容認されているわけでは全くない。しかしながら、経済成長時は、仕事をすればするほど成果が目に見えて現れ、国の経済も成長し、国民も富を享受することができるという循環が生まれた。その為、仕事に没頭する人が増え、企業も長時間労働を成果のものさしにする様になっていったのだと思う。

 

Q:あなたが日本企業で働いていた時、残業などに対する対応はどうだったか?

A:長時間働く人=仕事ができる人という見方が大半であり、定時で退社する人はほぼ皆無だった。また、部下は上司がまだ席にいるので帰りづらい、上司は部下がまだ仕事をしているのに自分だけ帰るわけにも、という悪循環もあった。日本では仕事の後で上司や同僚が食事や飲みに出かける慣習もあり、酒を飲みながら仕事の話をし、そこでプロジェクトを任されたりその後社内調整が進むということもよくあった。

 

Q:それほど長時間働いて生産性は上がるのか?英国企業と比べてどう思うか?

A:英国企業に勤務して最初に驚いたのは、定時でほぼ全員が席からいなくなることだった。仕事の後に同僚と飲みに出かけることも少なく、「仕事の後は家族との時間」とはっきり線引きしていたことも当時は新鮮に感じた。

一方で仕事中は非常に集中して業務をこなしている人が多かった。昼食はデスクでとり、就業中は業務を徹底的に片付け、定時でオフィスを出る。当時の一般的な日本人の働き方からすると生産性はかなり高いと感じた。

また、英国では残業なしで担当業務を完了できない状況が続く場合、本人と上司が仕事内容や優先順位を分析し、会社側の担当業務の量や振り分け方が妥当かも協議していたのを覚えている。