04 September 2020
英国では近年、原子力発電所、鉄道網、通信網など国の中枢インフラへの中国資本や中国企業の関与を問題視する声が高まっています。しかし英国にとっては中国をはじめとする海外からの投資は経済成長に欠かせません。キャメロン政権時ほど中国寄りではなくなったとはいえ、英国政府は中国企業のインフラへの関与について方針を明確にしてきませんでした。
この度米国政府がHuawei(ファーウェイ)社など中国通信機器メーカーの排除を世界に呼びかけたことをきっかけに、英国政府も7月14日、ファーウェイ製品の5G通信網への使用を禁止、すでに導入されている場合も2027年までに撤去すると発表しました。
この決定から数日後には、英国政府が5G通信網構築に向け日本に協力を要請したと日英両国のメディアが報じました。富士通社、NEC社など具体的な企業名も挙げられており、エリクソン社やノキア社などとの価格競争を促すのが狙いとする報道もあります。
しかし私たちは、ファーウェイ製品が排除された後、エリクソン社やノキア社だけではその穴を埋めるのが難しいという事情もまたあると考えています。
ファーウェイ社は、高い技術力と巧みな価格戦略により、英国のモバイル通信網において確固たる地位を築いてきました。Statista社資料(*)によると、ファーウェイ社は2018年の英国Mobile Access (4G)の分野において35%ものマーケットシェアを占めています。特に5G分野でのファーウェイ社の技術力の高さは、他社より1年先行しているとも言われるほどです。
また、英国のモバイルネットワークオペレーター(移動体通信事業者)は、リスク分散と価格競争促進の観点から2社あるいは複数のベンダーの機器を導入するケースが多いことも理由のひとつと考えています。
大手日系企業の中には数年前から英国の5Gコンソーシアムに参画するなど、現地関連企業や組織との関係性をすでに構築されている企業様もあります。英国では現在5Gの実証プロジェクトが複数行われていますが、これらに今後積極的に参加することも将来のビジネス機会の足がかりになると考えています。英国で行われる実証はプロジェクトに留まらず実装につながるケースも多く、利用者の声や実データを入手したり、政府組織や関係各社との関係を築いたりする絶好の機会になるのです。
また、今回の英国政府からの協力要請は、2019年の日英共同声明をくんだものでもあるでしょう。共同声明の中では両国間の共同研究や協業を進める分野として5Gが含まれていました。
今回の協力要請がきっかけとなり、5Gが日英協業の確固たる柱となるよう、また弊社が5G関連の基地局やスマホ部品など、関連分野で英国のビジネス機会を模索されている日本企業様のお力になれるよう願っています。
英国における5G実証プロジェクトやモバイルネットワークオペレーター(移動体通信事業者)とのビジネス機会にご関心をお持ちの企業様は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
(*)Statista社「Huawei market shares of telecoms equipment for network operators in the United Kingdom (UK) 2018, by technology」より
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