BBCインタビュー  日欧経済連携協定について

01 February 2019

 

2月1日に発効した日欧経済連携協定について、弊社代表江口・ベイコン昌子が英国国営放送(BBC)よりインタビューを受け、見解を求められました。インタビューは 2月1日「BBC Business Matters」の番組の中で放送されました。

 

日欧経済連携協定では世界のGDPの約3割を占める日本と欧州が自由貿易圏となり、知的財産権やデータ流通などにおいても共通ルールが定められました。この経済連携協定は世界に対する大きな影響力となり、日欧間の投資や貿易をより促進するきっかけとなることは間違いありません。

 

EU離脱が迫る英国にこの日欧経済連携協定はどのような影響をもたらすのでしょうか。現時点では離脱の行方は未確定ですが、仮にEUの枠組に留まれば、英国もこの協定の恩恵を受けられることになります。逆にEUから完全離脱し、かつ他国との直接交渉が可能になれば、近年の密接な日英関係からすると日英間での同様の経済連携協定締結の方向で合意がなされる思われます。

EU離脱の行方がいまだ定まらない中、企業側の不安が増していることも事実です。外国企業がEU内の各国の市場のほうが英国より安定していると判断しやすい状況の今、英国は1日も早く現在の迷走状態を脱し、英国ならではの強みをより前面に出し世界に対してアピールする必要があると感じます。

 

インタビューの概要は下記のとおりです。

 

Q:この経済連携協定がEUと日本にどのような影響を与えると考えるか。

 A:日本企業の海外展開先は依然としてアメリカやアジア諸国が多い。EUに興味があるものの、ビジネスチャンスがどこにあるのか、どこから始めたら良いかがわからない企業もまだ多い。この日欧経済連携協定が契機となり、そういった企業の新たな機会創出が可能になると思われる。

 

Q:御社ではそのような機会創出を支援する中、英国と関西との橋渡し役も担っているようだが、それは簡単だったのか?

A:弊社は英国テムズバレーと関西の間の地域連携促進に関わっている。両者を引き合わせた当初は互いの地名すらよく知らない状態。関係構築には長い時間を要し、決して簡単ではなかった。しかし、政府 (近畿経済産業局)、商工会議所(テムズバレー商工会議所大阪商工会議所、企業、大学と、携わる機関や関係者が増えていく中で次第にエコシステムが出来上がり、具体的なビジネス機会が生まれるようになってきた。

 

Q:日欧経済協定によりEUから日本へはどのような品目の輸出が増えると考えるか。

A:EUから日本への輸出のトップは自動車、製薬関連で、これらの分野は今後増加するだろう。また日本の消費者はEUの食料品やワイン、服、靴などに関心が高いく、これらの品目の輸出も増加すると思われる。

 

Q:日本からEUへの輸出はどのようになると考えるか。

A:日本からEUへの輸出品でも自動車関連がトップで、関税引き下げに伴い増加が予測される。またEU市場では人気が高まっている日本食関連製品(お茶、醤油、牛肉)などの輸出も増加するだろう。

 

Q:経済連携協定発効直後というタイミングの今週末、ドイツのメルケル首相が日本を訪問するようだ。メルケル首相はこの経済連携協定を最大限に活かすこと、そして(保護主義に転じている)アメリカに対抗する何らかの働きかけも視野に入れていると思うか?

A:当然そのつもりでの訪日と感じている。

 

番組ではこの後、石倉洋子氏(一橋大学名誉教授)へのインタビューへと続きました。

 

番組の音声は下記のリンクよりお聴きいただけます。(冒頭部分)

https://www.bbc.co.uk/programmes/w172w0q4lggs27l